やたら角がピョコピョコするカタツムリのおもちゃを作った話(兼Adventurer 3で駆動部を作るため寸法調整の話)
作ったもの
#Fusion360 で設計して
— びー (@kbkbirogy) September 7, 2019
#Adventurer3 で出力した,やたら角がピョコピョコするカタツムリっぽいおもちゃ pic.twitter.com/CGb51DdiR7
こっちは #Fusion360 で設計して
— びー (@kbkbirogy) September 7, 2019
#Adventurer3 で出力した,やたら角がピョコピョコするカタツムリっぽいおもちゃが,己の勢いのあまり部品が吹き飛ばしてしまった時の動画 pic.twitter.com/AVxdvayydS
やたら角がピョコピョコするカタツムリ風のおもちゃを作った. *1 最近買った3Dプリンターで動きものがつくりたくなった結果これができた.
技術的な背景(読まなくてOK)
CADで指定した数値通りにバラツキなく部品を作ることは,現在の人類にはほぼ不可能である*2.
現在のFDM式の3Dプリンターでは,材料が収縮して穴が小さく出力されたり,材料が重なって角が分厚くなったりするなどの癖やズレがある.
この影響は,駆動部を含むような構造を作るときには致命的で,ピッタリサイズの寸法を入れるとまず動かない.
たとえば,CAD上で同じ径の穴と軸を作ったする.これらを3Dプリンターで出力すると,軸に穴はほぼ刺さらない.刺さったとしても回らない.
そこで,3Dプリンターの癖に対応できるように†経験的†に寸法を補正する必要がある.
作製の目標
大目標
- 3Dプリンター(Adventurer3) でいい感じに動くものを作るために寸法補正の感覚をみにつける
- 軸と穴の径の差
- 歯車と歯車の間隔(理想的には,モジュールと歯数から決まるが...)
- はめあい
- 摺動部
小目標
- Fusion 360 の操作に慣れる&動作の検討をやってみる
- おもちゃからもいできたゼンマイ3Dプリント製の部品と組み合わせる.
- 家にネジがなかったので,ネジを使わずに組み立てられる構造にする.
製作手順
100均で買ってきたカメのおもちゃをバラす.
ゼンマイから出てるシャフトに溝が切ってあるおかげで,いい感じにプラ部品がささるので, 3Dプリントした部品とも相性が良かったのでラッキーだった.
カタツムリの前世 pic.twitter.com/KYrVWQ8NWE
— びー (@kbkbirogy) September 7, 2019
えいっと設計する.
回転運動を前後運動に変換したいので,いい感じの機構を探す*3. 部品点数が少なくて済みそうだったので,スコッチヨークにした. あとは,歯車とか部品を配置してみて,うんうん言いながら手を動かしたりしたらできた.
Fusion 360でモーションスタディ pic.twitter.com/ul08zlldVE
— びー (@kbkbirogy) September 7, 2019
3Dプリントした部品の寸法を調整する.
今回調整しないといけないのは,下の画像で丸つけた場所. 出力しながら気合で調整していった結果,こんな感じになった.
調整項目 | 距離 |
---|---|
(a)穴と軸 | 1 mmの直径差つける |
(b)歯車間の中心間距離 | 0.5 mm 中心間距離を長くする |
(c)スコッチヨーク摺動部 | 1 mm 直径差をつける |
(d)箱形状のはめあい | ~1 mm メス側内寸とオス側外寸の差をつける |
(d)箱形状のはめあいは,1mmだとちょっと緩いくらいになる.
ただし,(a)はΦ4,(b)は15 mm ,(c)はΦ2~6,(d)は25㎜ くらいの寸法に対する補正値なので,
寸法が変わると変化するので注意.
組み立てる
ネジを使っていないので,必要な場所に順番に部品を指していくと組みあがる.
まとめ
やったこと
- 3Dプリンターで現物合わせをしながら,ネジ無しでそれっぽい駆動物が作れた.たまに動かない.
- 駆動部は1 mm くらいマージンあるとガタとバリの影響をごまかせる.
- はめあいは,1 mmでやや緩いくらい.きつめのはめあいは,今後の課題.
- Fusion のモーションスタディ機能を使ってみた.意外と適当に拘束しても動く.
次回の課題
おまけ(はめあいスティック)
今回は,野生の感でいい感じの寸法を決めたが,インテリジェンスが足りていないので,はめあいチェック用の棒を作った. Φ5~6まで,0.1刻みで大きくなるような穴を配置した棒と,同じように軸を配置した棒を作成した. こんな感じで確認をする.これで次回の調整は楽になるはず......
3Dプリンターの軸と穴のはめあいをチェックするやつを #Adventurer3 で作ってみました.
— びー (@kbkbirogy) September 8, 2019
Φ5~6まで,0.1 mm刻みでパラメータを振ってあります.
stlと,#Fusion360 形式のデータをBOOTHに0円設定でおいたので,良ければ落としてみてください.https://t.co/CMZwkh1EhH pic.twitter.com/o4lDbRQaFV
Boothに置いておいたので,寸法をいじって使ってください. Φ5部以外の寸法は受動寸法になってるので,Φ5の寸法だけ変えれば他の径での調整にも対応できるはず. 83bite.booth.pm
*1:本当はロイコクロリディウムに寄生された感を出したかったけど,おもったより平穏な感じになった.
*2:主語がデカい感じがする.でも,公差0ってどうやって実現できるんだろ.
*3:507 Mechanical Movementsはいいぞ 507 Mechanical Movements
*4:シリンダーみたいな形状